INFO - インフォメーションPURPOSE - 開催目的PRE-EVENT - プレイベント

English 英語Japanese 日本語

世界核被害者フォーラム趣旨
- 核と人類は共存できない!-

2025年、広島・長崎は米国の原爆下から80年を迎えている。 核の時代は、米国が広島・長崎に原爆を落とし人間が地上から人類を抹殺する力を手に入れ人類滅亡の危機に直面して始まった。 原爆投下は、一瞬にして無数の無辜の民を虐殺し、ヒロシマ・ナガサキに未曾有の非人間的悲惨さの極みをもたらした。地獄の惨禍をくぐり抜け生き延びてきた被爆者は、放射能の影響に今なお苦しんでいる。国家のひき起こした戦争の結果もたらされた無差別大量虐殺の犠牲者への補償は切り捨てられたままである。 この間、核を握る核権力によって、放射能による健康への影響の事実は矮小化され、あるいは隠蔽されてきた。 私たちは、広島、長崎被爆80周年に当たり、核の使用がもたらした非人間的な核災害の原点・ヒロシマの地で、数知れぬ核犠牲者の無念の死を背に負い、「核と人類は共存できない」というヒロシマから生まれた核絶対否定の理念を掲げ、核兵器を廃絶すると共にあらゆる核の利用を根絶するために、再び世界核被害者フォーラムを開催する。

 核利用サイクルは、ウラン採掘に始まり、製錬、核兵器・核燃料製造、核実験、核兵器使用、原発稼働、原発事故、使用済み核燃料の再処理、核廃棄物の保管・処分、劣化ウラン兵器使用など、あらゆる段階で放射能による広範な環境汚染と人体への深刻な影響をもたらしてきた。 私たちは、インドやアメリカなどのウラン鉱山採掘現場、劣化ウラン弾を撃ち込まれたイラクの現場、ネバダ核実験場の風下住民の現場や南太平洋の島々と世界各地の核実験場の現場を調査し深刻な被害の実態を告発してきた。また、原発重大事故に遭ったチェルノブイリ、福島の人々がその生命、健康、生活、自然環境を失わされ破壊された現場の状況を、検証・調査・支援してきた。 ウランの採掘、製錬、核実験、核廃棄物の処理などは、先住民の人々の土地や抑圧された旧植民地で行われてきている。被害現場に共通しているのは、被害者たちが、常に無防備で弱者の立場にあることだ。いつもそこに見られるのは、一握りの権力者、資本の利益のために、いわれも無く理不尽に踏みにじられる民衆の犠牲だ。その犠牲の上に利益を上げる権力者の利己的な行動は許されないし、その行動が今や核戦争を招き、地球の気象変動をもたらし、人類を絶滅に追いやる危機を招来していることを私たちは直視しよう。

 2015年被爆70周年に広島で開催した「世界核被害者フォーラム」で採択した「広島宣言」では、核被害者を「原爆の被爆者、核実験被害者、核の軍事利用と産業利用の別を問わず、ウラン採掘、製錬、核の開発・利用・廃棄の全過程で生じた放射線被曝と放射能汚染による被害者すべてを含む」とした。また、「核時代を終わらせない限り人類はいつでも核被害者=ヒバクシャになりうること」を認識して、核と人類は共存できないことをあらためて確認した。 今世界は以前にもまして厳しい核の危機に直面している。力によって領土を拡げんとする国家の野望による戦争が続き、そこで核兵器を使用する威嚇が繰り返されている。核開発はウランなど資源の略奪競争を生み、核による被害は以前にも増して世界各地で深刻に広がっている。

 2021年1月には、ヒバクシャが先導した長年の闘いにより核兵器禁止条約が発効し核兵器の製造、保有、実験、移転、使用、使用の威嚇を禁じた。核時代の終焉の一歩を刻んだのである。核兵器の違法性と締約国による核被害者の救済の義務を定めたことは歴史的な意義がある。だが、今世界は、ウクライナ戦争、ガザで続くジェノサイド、中東危機の中で核兵器使用の威嚇が地域戦争の手段とされるなど、核戦争への危機が高まっている。核兵器禁止条約は、核戦争による非人道性の極みを訴え闘ってきた原爆被爆、核実験被害者たちの体験と、それを共有する運動の上に成立した。 しかし、核兵器禁止条約は、世界各地の核被害者の救済なくして核廃絶はないという被爆者らの訴えに反し、核被害者を「核兵器の使用と実験」によって影響を受けた者と定義づけているため、多くの先住民を含むウラン鉱山などの核被害者が取り残されていく問題がある。また、原子力の「平和利用」を奪い得ない権利と定めていること、加害者責任が明確にされていないことなどの重大な課題が残されており、これを是正させる取り組みが重要となっている。 日本の被爆者運動が、その出発点から今に至るまで、国家補償の精神に立つ被爆者救援と核廃絶運動を車の両輪として闘ってきた教訓に学ばなければならない。 私たちは、被爆者が想像を絶する苦しみの中で、自らを救い、同時に人類をも救おうと決意し、血を吐く思いで闘い続け斃れていった先人たちの意志に学び、ノーベル平和賞が示した巨大な核権力との闘いに続かなければならない。

 80余年にわたり、核利用を進めてきた国々と核産業は、「核の軍事利用」あるいは「平和利用」を問わず、世界中に核被害者=ヒバクシャを生み出してきた。核被害の多くは、先住民や植民地支配の下に置かれた人々に押し付けられてきた。そして、チェルノブイリ、福島の原発重大事故を起こしてもなお、これらの国々と核産業は、「地球温暖化対策」を口実に原発推進を掲げ、核被害をさらに拡大させようとしている。 私たちは、世界で核被害をこれ以上増やさないため、全ての核利用サイクルを断つ闘いの国際的ネットワークを強固なものにしなければならない。そのために、核被害地で闘う原爆被害者をはじめ先住民を含む核被害者、運動家をはじめ、医科学的・法律的専門家を結集し、核がもたらしている被害の全容を徹底的に明らかにし、核利用の根底的な廃絶とこれ以上ヒバクシャをつくらない世界を目指す。核被害者および核被害者と共に闘う人々の国際的連帯を、原爆投下により未曽有の非人間的惨禍を体験したヒロシマの地で作り出し世界に発信していこう。

 2025年の核被害者フォーラムでは、核被害者の実体験と訴えを反映させた核被害者救済と権利確立を目的とする行動指針を幅広い層の参加者と議論する。具体的な当事者目線の行動要綱は、先住民族やグローバルサウスを含む国際社会へ向けて発信し、核の根絶への指針として世界に普及を図る場を作り出す。 2015年世界核被害者フォーラムの成果を引き継ぎ、「世界放射線被害者人権憲章」をさらに発展させ、核被害をもたらしてきた核権力者の責任を明らかにし、核被害者の権利と補償の確立、世界の核被害者への救援、核利用の根絶への指針として世界に広めていこう。

ヒロシマから世界に届けよう!
核と人類は共存できない!
ヒバクシャの救済と人権獲得を!
世界の核被害者と共にヒロシマに集い、連帯の絆を結ぼう!

WNVF2025
Japanese flyer: Download PDF file. (4.1MB)

共催: (Co-sponsored by)
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会 
Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition (HANWA)
核のない世界のためのマンハッタン・プロジェクト 
Manhattan Project for a Nuclear-Free World

世界核被害者フォーラム実行委員会
Members of the Organizing Committee

共同代表 (Co-chairs):
足立 修一 Shuichi Adachi (HANWA)
井上 まり Mari Inoue (MPNFW)
森瀧 春子 Haruko Moritaki (HANWA)

事務局長 (Executive Director):
川野 ゆきよ (MPNFW、HANWA)

事務局次長(Associate Director):
藤元 康之 Yasuyuki Fujimoto (HANWA)

事務局 (Contact):
〒731-5135 広島市佐伯区海老園3-2-18
世界核被害者フォーラム実行委員会 (森瀧気付)

Email:
nonukes.hiroshima@gmail.com
(森瀧春子 Haruko Moritaki)
nuclearvictimsforum@gmail.com
(井上まり Mari Inoue)